【9月16日 AFP】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)は15日、中国が南シナ海(South China Sea)で造成した人工島に3本の滑走路を建設している可能性があると明らかにした。これにより、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の訪米を前に、米中間の緊張が高まる可能性がある。

 中国は昨年、同国南部の海南島(Hainan Island)から約1000キロメートルのところにある、南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)の永暑礁(Yongshu、英語名:ファイアリークロス礁、Fiery Cross Reef)に3000メートル級滑走路の建設を開始。同研究所によると、建設作業は「順調に進み」、塗装の段階に達しているという。

 また、同諸島にある、約400万平方メートルが埋め立てられた渚碧礁(同スービ礁、Subi Reef)を撮影した衛星写真には、整地作業の様子や、滑走路の建設作業とみられる活動が捉えられていたという。

 さらに、先週撮影された衛星写真には、同諸島のミスチーフ礁(Mischief Reef)に擁壁(ようへき)が建設されて3000メートルの長方形の区域が造られ、セメント工場も設置された様子が映っており、「もう一本、別の滑走路も建設中の可能性がある」とCSISは語った。

 CSISが運営するウェブサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ(Asia Maritime Transparency InitiativeAMTI)」のグレゴリー・ポーリング(Gregory Poling)氏は「ミスチーフ礁に3本目の滑走路……これで三角形が完成することになり、南沙諸島における中国の空中哨戒や航空阻止の能力は飛躍的に向上する」との見方を示し、これにより緊張が高まり、「(周辺海域で)領有権を主張している国はもとより米国など域外の関係国にとっても作戦上のより大きな頭痛の種になる」と付け加えた。(c)AFP