【9月15日 AFP】米カリフォルニア(California)州の都市や農地に水を供給しているシエラネバダ(Sierra Nevada)山脈の雪塊量が、過去500年で最低水準を記録しているとの研究論文が14日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された論文によると、「天然の貯水池」である雪塊の量は、2015年4月1日に測定された時点の数値が、1950~2000年の平均値の5%程度しかなく、同州の住民数千万人と500億ドル(約6兆円)規模の農業分野に慢性的な水不足をもたらすとの懸念が持ち上がった。

 カリフォルニア州中部に位置する全長650キロのシエラネバダ山脈の雪塊は、同州で供給される給水量の60%以上をまかなっている。これには、ロサンゼルス(Los Angeles)とその周辺地域やサンフランシスコ湾の湾岸地域も含まれており、州内約2300万人分の飲料水に関係している。

 同山脈における雪塊量は例年4月に最も多い。しかし皮肉なことに、2015年4月1日、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン(Jerry Brown)州知事は、同州初となる給水制限を発令した。

 同論文の主執筆者で、米アリゾナ大学(University of Arizona)のバレリー・トルーエ(Valerie Trouet)教授は、このことついて、今年1~3月までの記録的な高温と、極端に少ない冬季の降水量が組み合わさったことが原因と説明している。

 2015年の雪の量をめぐっては、1930年代に始まった観測調査以降、最低を記録していることがこれまでの調査ですでに明らかになっている。しかし今回の研究では、さらに時代をさかのぼって調査が行われた。

 今回の研究では、毎年の冬季降水量を調べるため、シエラネバダ山脈と平行に走るセントラル・バレー(Central Valley)に生育するブルーオークの老木約1500本の年輪が測定された。同州では年間の降水量が冬季に集中している。

 過去に、これら木々に大量の水分を供給したであろう嵐は、同時に並列するシエラネバダ山脈にも降雪をもたらしたと考えることができるため、年輪の幅は、特定の年の雪塊の規模を知るための手がかりとなる。

 研究チームは、こうして得た年輪のデータを、1500~1980年の期間における冬季の推定気温と比較し、年ごとの雪塊量のデータを作成した。

 今回の研究から導き出されたデータから、「過去80年間どころか、過去500年間でも類をみない」ほど雪塊量が減少していることが分かったとトルーエ教授は指摘している。

 米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)によると、現在、同州の貯水池120か所以上で、水位が満水時の5分の1以下となっており、190か所で半分を下回っているという。(c)AFP/Marlowe HOOD