【9月15日 AFP】中東エルサレム(Jerusalem)にあるイスラム寺院「アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)」では14日、ユダヤ暦の新年をユダヤ人らが祝う中、聖地を守ろうとするイスラム教徒とイスラエル警察が前日に続き衝突した。国連(UN)と米国は衝突を強く批判し、自制を呼び掛けた。

 アルアクサ・モスクが建つ丘は、イスラム教で「ハラム・シャリーフ(Al-Haram Al-Sharif)」、ユダヤ教で「神殿の丘(Temple Mount)」と呼ばれ、両教徒にとって聖地となっている。

 警察によると、イスラエルの治安部隊は13日と同様、聖地で新年を祝うユダヤ人に対するイスラム教徒の若者らの嫌がらせを防ぐため、早朝にモスク内に入ったという。その際、衝突が発生。イスラム教徒がバリケードを作ってモスク内に立てこもる一方、外では聖地への立ち入りをめぐって抗議行動が起きた。

 警察は声明で、覆面の若者たちがモスク内に逃げ込み、投石してきたと発表。モスク内でデモ参加者5人を逮捕し、ユダヤ教徒の聖地訪問は予定通り行われたと述べた。

 エルサレム旧市街の路上でも治安部隊とデモ隊の衝突が起き、4人が逮捕された。

 警察は群衆を押し返す際、威嚇用手投げ弾を使用。デモ隊やAFP記者を含むジャーナリストらに対し殴る、けるなどした。

 イスラム教徒らは、イスラエル政府が聖地の管理方法を変えようとしているのではないかと危惧している。極右ユダヤ教組織は「神殿の丘」へのアクセス拡大を強く主張し、新しい神殿を建設しようとの動きもある。ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は現状維持の方針を示しているが、パレスチナ人らは懐疑的な見方を崩していない。

 パレスチナ解放機構(PLO)は14日、高官を通じて発表した声明で、「イスラエルが意図的に不安定な状況を作り出し、暴力をエスカレートさせているのは明らかだ。それによって治安部隊の権限と統制を徐々に増やし、ハラム・シャリーフを完全に併合・変質させようとしている」と非難した。
(c)AFP/Sarah Benhaida