【7月30日 AFP】中東呼吸器症候群（Middle East Respiratory Syndrome、MERS）の実験段階のワクチンが、動物実験で有望な結果を示したとの研究報告が28日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ（Nature Communications）に発表された。人間に有効なワクチンの開発につながる可能性のある免疫系反応が誘発されることが、実験で確認されたという。

 現在のところ、MERSに有効な認可されたワクチンは存在しない。2012年に初めて出現したMERSは、韓国での最近の破壊的な流行を含む幾多の不安を引き起こしてきた。

 米国立アレルギー感染症研究所（National Institute of Allergy and Infectious Diseases、NIAID）が発表した実験結果によると、ワクチンを接種したマウスは、複数のMERSウイルス株を中和する抗体を生成。これは、これまでで最大規模の免疫反応だという。

 続いてワクチンをサルに投与し、MERSウイルスの1種に暴露させると、MERSに特徴的な重症肺炎の発症を予防できたという。

 研究チームは現在、人間に対する臨床試験で使用される可能性のある実験ワクチンの開発を進めている。

 今年5月に韓国で発生したMERSの流行では、約180人が感染、36人が死亡した。世界保健機関（World Health Organization、WHO）は2012年以降、490人の死者を含む1368人の感染者を特定しており、その大半がサウジアラビアに集中している。(c)AFP