【7月20日 AFP】三菱マテリアル(Mitsubishi Materials)は19日、第2次世界大戦(World War II)中に前身の三菱鉱業(Mitsubishi Mining)の鉱山で強制労働に従事させられた元米国人捕虜や遺族らに謝罪した。

 5年前には日本政府が旧日本軍の捕虜となった元米兵らに謝罪しているが、日本企業として公式に謝罪したのは三菱マテリアルが初めて。

 謝罪の式典は米ロサンゼルス(Los Angeles)にあるユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon Wiesenthal Center)」の「寛容の博物館(Museum of Tolerance)」で行われた。

 三菱マテリアルの木村光(Hikaru Kimura)常務執行役員は、日本で強制労働をさせられた米国人捕虜の数少ない存命者の一人、米カリフォルニア(California)州のジェームズ・マーフィー(James Murphy)さん(94)に謝罪し、マーフィーさんはその「誠実で謙虚な」謝罪を受け入れた。

 マーフィーさんは「戦後70年、日本の企業のために働かされた元捕虜は、謝罪というとても単純なことを求めてきた」と述べた。「われわれは今回の三菱の思いやりのある行動が、米国人捕虜をその意思に反して働かせた他の全ての鉱山や工場にも広がることを期待している」

 三菱マテリアルの木村氏は通訳を通じ、三菱鉱業の国内4か所の炭鉱でおよそ900人の米国人捕虜が強制労働に従事していたと認め、当時日本企業によって過酷な環境下で働かされていた米捕虜は数千人に上るだろうと語った。

 さらに木村氏はこのようなことは二度と起こさないと誓うとともに、「過去の不幸な出来事に道義的な責任を痛感している」として謝罪した。(c)AFP