【7月17日 AFP】台湾の台北(Taipei)郊外のテーマパークで起き、数百人の若者が負傷した火災からほぼ3週間。一人また一人と死者が増えていく中、負傷者の親たちは、娘や息子に生き続けてほしい一心で、寝る間も惜しんで看病に専念している。

 マイケル・チュー(Michael Chu)さんの娘のジュリー(Julie Chu)さん(18)は、6月28日に起きた火災で全身の70%超にやけどを負った。「娘の心臓は一時止まりかけた」とチューさんは語った。「私たちは娘の名前を呼び続けた。悪魔に連れ去られずに、勇敢に生き続けなきゃいけない、と話しかけた」

 テーマパーク「八仙水上楽園(Formosa Fun Coast)」の来園者1000人前後が参加していたこのイベントでは、参加者に向けてまかれた色付きの粉末に火が付き、会場が火の海と化した。一般の人が撮った動画には、炎に囲まれた参加者が叫びながら逃げまどう恐ろしい光景がとらえられていた。

 ジュリーさんの全身で唯一、やけどを免れたのは、ツーピースの水着でおおわれた部分だった。チューさんによると、ジュリーさんは麻酔薬のせいで意識のない状態にあることが多い。また、損傷した皮膚を切除する手術をあと5回も受けなければならない。

 またチューさんは、手術は命にかかわる感染症の危険を伴うため、ジュリーさんの生存の見込みを見極めるのは難しいと、医者から伝えられた。

 悲しみに暮れるチューさん夫妻は、一命を取り留めた後の娘の人生も懸念している。「娘の人生は台無しになった。今は学校へ行くこともできないし、将来、仕事を持つこともできない。結婚もできないだろう」とチューさんは語った。

 被害者のうち、これまでに7人が亡くなっており、死者数は今後も増える恐れがある。医療従事者たちは、負傷者の数とその容体の深刻度から、今回の火災は台湾での前例のない事故となったと話している。