【7月14日 AFP】(写真追加)バングラデシュ北東部シレット(Sylhet)で、柱に縛りつけられた13歳の少年が殴り殺される様子をスマートフォン(多機能携帯電話)で撮影した動画がフェイスブック(Facebook)に投稿され、国民の間に怒りが広がっている。警察は13日までに暴行に関与した疑いで男2人を逮捕し、残る4人の行方を追っている。

 殺害されたのは、家計を助けるために学校を中退し野菜を売っていたサミウル・アラム・ラジョン(Samiul Alam Rajon)君(13)。地元警察によるとサミウル君は8日、胸や頭を含む全身の少なくとも64か所に「情け容赦ない暴行」を受け、内出血で死亡した。

 サミウル君を殺害した男らは、サミウル君が窃盗をはたらいたと主張しているが、サミウル君の母親は「息子は窃盗犯でないことは、みんな知っている。息子が殺されたことへの正当な裁きを求める」と記者らに訴えた。

 28分の動画のなかで、サミウル君は「そんなに殴らないで。死んでしまう」と何度も叫んでいる。窃盗をしたことを認めろとサミウル君に迫る男の声も聞こえる。別の男は、水を求めるサミウル君に「自分の汗を飲めよ」などとからかっている。「泥棒の末路を人々に知らせるため」に動画をフェイスブックに投稿しようと男らが相談する声も聞こえる。

 これまでに、市内の人けのない場所にサミウル君の遺体を遺棄しようとした主犯とみられる男が逮捕された。また別の容疑者1人がサウジアラビアのジッダ(Jeddah)で身柄を確保された。この容疑者はサミウル君が殺害された翌日に航空機でサウジアラビアへ出国していた。

 13日にはサミウル君の自宅前に数百人が集まり「人間の鎖」を作ってサミウル君殺害への抗議の意を示した。ソーシャルメディアではバングラデシュでなぜ暴力行為が横行しているのか自省する動きが広がっている。(c)AFP