【6月30日 AFP】(写真追加)欧州首脳らは29日、ギリシャで7月5日に実施される国民投票で激論が続けられてきた金融支援の条件に関する提案に賛成するよう同国の有権者に呼び掛け、財政再建案が否決されればギリシャのユーロ圏離脱は避けられないと警告した。

 ベルギー・ブリュッセル(Brussels)では、ジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)欧州委員長がギリシャのアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相を激しく批判。チプラス氏の急進左派政権の態度に「裏切られた」気分だと述べるとともに、有権者に「真実」を語るべき時だと訴えた。

 ユンケル氏は、「親愛なるギリシャの皆さん、死が怖いからといって自殺を選んではいけない」と述べ、国民投票で「イエス」を投じるよう呼び掛けた。5か月にわたるギリシャの債務問題協議で、チプラス氏に最も近く、時には唯一の支持者ともみなされたユンケル氏は、「問われる質問が何であれ国民の答えが『ノー』ならば、それはギリシャが欧州に『ノー』と言ったことになる」と述べた。

 これに対しギリシャ政府の報道官は、ユンケル氏の「誠意」を疑うと語った。

 またドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相とフランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領、イタリアのマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相ら欧州各国の首脳は足並みをそろえ、金融支援策をめぐる7月5日の国民投票は事実上、ギリシャがユーロ圏に残留するかどうかを決める投票になると強調した。

 国際通貨基金(International Monetary FundIMF)への債務返済期限前日の29日、債務不履行(デフォルト)、ひいてはユーロ圏離脱の可能性が高まる中、ギリシャは資本規制の導入と銀行の閉鎖に踏み切った。

 現金自動預払機(ATM)からの預金引き出し額は1日当たり60ユーロ(約8300円)までと制限されており、29日が月曜日だったことから「ブラックマンデー」との声も上がっている。(c)AFP/Alex PIGMAN