【4月28日 AFP】高齢のネコには、ある種の甲高い大きな音で発作を起こす可能性があるとの研究が27日、発表された。鍵の束をチャリチャリ鳴らす、アルミホイルをクシャクシャ丸める、金属製スプーンで餌の皿をカンカン打つなどの音が発作の誘因となるという。

 学術誌「ジャーナル・オブ・フィーライン・メディシン・アンド・サージェリー(Journal of Feline Medicine and Surgery)」に掲載された論文によると、主に10歳以上のネコで、コンピューターのキーボードを叩く、金づちでくぎを打つなどの普段から耳にする音や舌打ちの音などでも一時的に発作を起こす恐れがある。

「FARS(猫科動物聴覚原性反射発作)」と命名されたこの発作性疾患に関する研究は、英国の慈善団体「インターナショナル・キャット・ケア(International Cat CareICC)」が、一部の飼い主から寄せられたネコの異常な発作の報告について、獣医神経学者らに問い合わせたことがきっかけで始まった。

 人間でも起こり得る聴覚原性反射発作は、ある種の音によって誘発される。特定の音を聞くことによって、体の動きが突然停止する場合もあれば、短時間のけいれんを引き起こすこともある。けいれんについては数分間継続する可能性もあるという。

 これまで、この問題に関して発表された研究は皆無だったため、研究チームはICCを通じて、飼い主を対象としたアンケート調査を行った。研究チームには英デービーズ動物専門病院(Davies Veterinary Specialists)のマーク・ロウリー(Mark Lowrie)氏とローラン・ガロシ(Laurent Garosi)氏、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(University College London)薬学部のロバート・ハーベイ(Robert Harvey)氏らが参加した。

 今回の調査には、世界中から数百通の回答が寄せられた。多くの飼い主は、地元の獣医師らがこの問題に診断を下すことができず困り果てていたという。

 研究チームは、ネコ96匹を対象に収集されたデータを調べ、実際に音が発作の誘因になっていることを突き止めた。また純血種と雑種のネコの両方でその影響を確認している。

 論文によると、発作がみられ始める年齢は平均15歳前後とされ、その範囲は10歳~19歳だったという。またバーマン種のネコが特にこの発作を起こしやすい傾向があることもわかった。

 論文には、「これまで未報告だった症候群を、厳選した質問表と診療記録を用いて定義した。この症候群に関する獣医師らの認識向上につながることを期待している」と記されている。

 研究チームは、発作の治療方法に関する研究を継続して行っているが、当面はネコに特定の音を聞かせないようにすることで発作を回避できると説明している。(c)AFP