【4月3日 AFP】中国が設立を主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment BankAIIB)」は、創設メンバーの申請期限だった3月末までに米同盟国を含む約50か国・地域の参加を集め、外交面で素晴らしい成功を収めた。

 ただ、共産党独裁の中国政府にとって、欧州からアジアまでを股に掛けた多国間機関を運営するのは初の試みであり、困難な課題となると専門家らは指摘している。

 中国政府と財政省によると、AIIBへの参加表明国は3月31日までに49か国に上り、台湾も参加を申請した。その中には、国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国5か国のうち4か国、経済協力開発機構(OECD)加盟34か国のうち18か国、東南アジア諸国連合(ASEAN)全10か国が名を連ねており、米国と日本の不在が目立つ。

 中国は既に、ロシアと中央アジア4か国が構成する上海協力機構(Shanghai Cooperation OrganisationSCO)や新興5か国「BRICS」の枠組みの中で、主導的な役割を果たしている。

 しかし、北京大学HSBCビジネススクール(Peking University HSBC Business School)のクリストファー・ボールディング(Christopher Balding)氏は、資金規模でも影響力の面でもAIIBは「全くレベルが異なる」と話す。

 AIIBの創設メンバーには、カザフスタンやミャンマーに代表される中国と関係の深い国々に加え、ドイツ、英国、フランス、イタリア、オーストラリアといった有力な米同盟国も名乗りを上げた。民主主義と市場経済が浸透したこれらの西側諸国は、環境や人権、汚職、融資の効率性などの問題に関して強く意見を主張していくだろう。

 中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)の国際版、環球時報(Global Times)も、1日付の社説で「より多くの国と地域が加わるほど、意見の一致をみるのは一層難しくなる」と論評している。