【4月1日 AFP】先週末のアラブ連盟(Arab League)首脳会議で合意に至ったアラブ合同軍創設の構想について、実現性を疑問視する声が、専門家らから上がっている。

 エジプトで開催された同会議の最終日となった先月29日、アブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は、アラブ合同軍創設で各国が合意したと発表。22か国が加盟する同連盟が今後4か月以内に軍の構成や交戦ルールを決定する予定であることを明らかにした。

 これについて、米シンクタンク、カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)のフレデリック・ウェーレイ(Frederic Wehrey)氏は、「真の意味でのアラブ合同軍という構想は、現実というよりも願望にとどまっている」と述べ、「相互運用性や、各国間の政治不信、現実的な訓練の欠如」といった課題を指摘する。

 参加国数や軍の規模など、多くの疑問についてまだ答えが出ていない。また、合同軍を恒久的なものにするかどうか、本部をどこに置くか、どのような指揮命令系統を構築するかを決定する必要がある。

 シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院(S. Rajaratnam School of International Studies)の中東地域アナリスト、ジェームズ・ドーシー(James Dorsey)氏は、「この軍はあまり実体がないと思う。連帯の声明が出されたが、連盟内には大きな隔たりがある。このことはイエメン情勢をみれば明らかだ」と述べた。