【3月28日 AFP】南極を覆う氷床を保護している棚氷が激減しており、一部地域では20%近く減少したとする研究報告書が26日、米科学誌サイエンス(Science)電子版に発表された。

 研究は、欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が1994~2012年にかけて人工衛星で測定したデータに基づいたもので、気候変動が南極の氷に及ぼす影響について新たな情報を提供している。

 南極の棚氷は平均400~500メートルの厚さがあり、南極大陸から数百キロ離れた沖合まで達していることもある。この棚氷が薄くなりすぎると、氷床が海に滑り込んで溶け始め、海面上昇が急速に進む可能性がある。

 研究者によると、南極の氷の全体量は1994~2003年までほぼ変化がなかったが、その後、融解が急激に加速したという。このままのペースで減少が続けば、南極の棚氷は今後200年で半減すると研究者らは試算している。

 英リーズ大学(University of Leeds)極地観測モデリングセンター(Centre for Polar Observation and Modelling)所長のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は氷の融解の傾向について「これほどの速いペースで(氷が)薄くなれば長くは持たない。深刻な懸念だ」と語った。(c)AFP