【3月25日 AFP】2億年以上前に生息していたワニに似た新種の生物の化石をポルトガルで発見したとの研究論文が23日に発表された。生息していた当時は、食物連鎖の頂点に位置する捕食者の一種だったとみられるという。

 英エディンバラ大学(University of Edinburgh)率いる科学者チームが発表した論文によると、古代の湖跡で発見された化石は、この生物が巨大なオオサンショウウオのような外見だったことを示唆しているという。「メトポサウルス・アルガルべンシス(Metoposaurus algarvensis)」と命名されたこの原始両生類は、体長2メートルにまで成長し、三畳紀後期に湖や川に生息していたと考えられる。

 科学誌「Journal of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学ジャーナル)」に掲載された論文によると、生態は現代のワニに酷似しており、魚を主食としていたという。生息していた時代については、最初期の恐竜が地上を支配し始めたのと同時期だったと指摘された。恐竜の支配はその後1億5000万年あまり続いた。

 また論文によると、メトポサウルス・アルガルべンシスは、カエルやイモリなどの現代の両生類に進化した祖先系統に属しているという。

 研究を率いたエディンバラ大地球科学部のスティーブ・ブルサット(Steve Brusatte)氏は「この新種の両生類は、できの悪い怪獣映画に出てきそうな見た目をしていた」と話す。

「体長は小型車と同じ程度。顎を閉じると、大きく扁平な頭部は便座のようにも見え、そこには鋭い歯が数百本並んでいた。どう猛な捕食動物の一種で、最初期の恐竜は、生息地の水域近くに迷い込んだ場合に捕食されるリスクもあった。大型恐竜のティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)やブラキオサウルスが栄えた時代のはるか以前のことだ」

 研究チームによると、巨大オオサンショウウオに似た両生類種の大半は、恐竜絶滅のはるか以前、今から2億100万年前に起きた大量絶滅の間に姿を消したという。(c)AFP