【3月11日 AFP】アルゼンチン北西部ラリオハ(La Rioja)州でリアリティー番組の撮影中にヘリコプター2機が空中衝突し、フランスの有名スポーツ選手3人を含む10人が死亡した事故で10日、犠牲者10人全員の遺体が収容され、安置所へ移送された。

 地元当局者によると、同州の険しい山岳地帯で行われていたサバイバル番組「ドロップト(Dropped)」の撮影中に両機が空中で激突。その際犠牲になった仏スポーツ選手は、著名セーリング選手のフロランス・アルトー(Florence Arthaud)氏、水泳五輪金メダリストのカミーユ・ムファ(Camille Muffat)氏、ボクシング五輪銅メダリストのアレクシ・バスティーヌ(Alexis Vastine)氏の3人だったという。

 救助隊は大破した両機の残骸から遺体を収容し、事故現場から約300キロ離れた州都ラリオハ市の安置所へ移送した。

 AFPの取材に応じた同州治安当局者によると、極めて激しい衝突だったとみられ、誰の遺体か分からないほど焼け焦げていたという。

 関係者の話では、現場からラリオハ市までは3時間半ほどかかるとされ、同市で犠牲者の身元特定作業が開始されるとしている。

 当局者らによると、事故が発生したのは9日夕で、天候は良好だったという。搭乗者のうち犠牲を免れた人はおらず、全員が死亡した。

 この事故でフランスには衝撃が広がった。同国のテレビでは、2機が非常に接近し回転翼がぶつかり合って折れ、両機が墜落していく様子も放映された。マニュエル・バルス(Manuel Valls)仏首相は、「フランス全土が喪に服している」と述べた。

 これはリアリティー番組史の中でも最悪の事故となった。ある警察筋によると、仏人スポーツ選手3人に加え、テレビ取材班の仏人5人、さらに2機をそれぞれ操縦していたアルゼンチン人パイロット2人も死亡したという。(c)AFP/Alexandre PEYRILLE / with Richard Carter in Paris