【3月6日 AFP】米国人発明家トーマス・エジソン(Thomas Edison)は、死者の声を聞く機器を制作する構想を練っていた──この野心的な構想について記した著書が今週、フランスで出版される。没後に出版された同原著では、最終章にこの構想についての記載があったが、後に削除されたために失われかけていた。

 エジソンが自身の取り組みを詳細に記した手記は、死後の1948年に著書「Diary and Sundry Observations」の最終章として刊行された。ここに記されていた内容からは、エジソンが、死者の声を録音する「スピリットフォン」を開発したいと考えていたことが見て取れる。

 だが奇妙なことに、今日ではオカルトとみなされると思われる内容にまで触れた同章は、その後に出版された英語版の同著では削除されてしまった。

 米国では一部で、このアイデアはエジソンの作り話かいたずらかもしれないと考えられた。スピリットフォンの設計図がこれまで見つかっていないからだ。

 だがフランスでは、1949年に発行された、失われた最終章を含む原著の仏語翻訳版が完全な状態で保存されていた。

 同国の読者は、今週再版の同翻訳版の中で、エジソンの異色の探求について再発見できる。

 最終章を読むと、円盤式蓄音機やレコードプレイヤーの先駆けであるエジソンのシリンダー式蓄音機から聞こえる音を増幅することで、1870年末に彼が「スピリットフォン」発明の基礎をどのようにして見つけようとしたかが分かる。

 同書に解説を執筆した、仏ラジオ司会者で、熟達した哲学者のフィリペ・ボードワン(Philippe Baudouin)氏によると、エジソンは協力者の技師、ウィリアム・ウォルター・ディンウィディー(William Walter Dinwiddie)氏との間で、先に死んだ方が「生きている方にあの世からメッセージを発信するよう試みること」の約束も交わしていたという。

 エジソンは、幽霊は存在すると信じていたばかりか、幽霊は非常に話し好きとまで考えていたようだ。「実在する人間の声の録音が可能になることや、この世に実在しない死者の声を聞こえるようにすることをエジソンは思い描いていた」とボードワン氏は話している。

 エジソンは蓄音機の開発者だが、「電球を最初に発明した」と誤って引き合いに出されることが多い。(c)AFP