【3月3日 AFP】AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)を引き起こすHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の数グループの株のうち、これまで起源が判明していなかった2つのグループが、カメルーン南西部のゴリラに由来することを国際研究チームが突き止めた。これでAIDSの流行の主要な原因となっている4グループのHIV株について、すべて起源が判明したことになる。

 フランス開発研究所(IRD)のウイルス学者、マルティーヌ・ペータース(Martine Peeters)氏と仏モンペリエ大学(University of Montpellier)が率いた研究の結果が、2日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 報告によると、AIDSの流行の主要な原因となっているHIV(HIV-1)の株には、M、N、O、Pの少なくとも4グループがある。この4グループはそれぞれ別の機会に、類人猿から人間に感染した由来がある。このうちグループMとNについては、カメルーンのチンパンジーに由来することがすでに知られていたが、グループOとPの起源はこれまで不明だった。

 HIVの中で最も広まっているのはHIV-1グループMで、4000万人以上に及んでいる世界のHIV感染の中で最も多い。一方、今回ゴリラ由来であることが分かったグループPへの感染がこれまでに確認されているのは世界でわずか2人、グループOはアフリカ中部・西部で約10万人が確認されている。

 今回の画期的発見は、カメルーン、ガボン、ウガンダ、コンゴ民主共和国のチンパンジーとゴリラの遺伝子サンプルによってもたらされたという。(c)AFP