【2月13日 AFP】欧州連合(EU)が12日ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で開いた首脳会議で、大規模な救済策の再交渉を求めているギリシャのアレクシス・ツィプラス(Alexis Tsipras)首相と欧州最大の経済大国ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が初めて顔を合わせた。

 EUと国際通貨基金(IMF)による現行の対ギリシャ金融支援の枠組みは今月末で期限切れを迎えるが、11日に開かれたユーロ圏財務相会合でギリシャに対する新たな支援策について合意できなかったことから、ギリシャのユーロ圏離脱の懸念が強まっている。

 ユーロ圏財務相らは、ギリシャが要請している2400億ユーロ(約33兆円) 規模の債務免除をめぐって妥協点を見出すべく、16日にブリュッセルで再び会合を開くことになっている。ユーロ圏財務相会合のイェルン・デイセルブルム(Jeroen Dijsselbloem)議長(オランダ財務相)とギリシャは、現在の金融支援策とギリシャの新提案の間で一致点を見出すため、16日より前に専門家による協議を開始することに同意した。

 ギリシャでは、2010年以降金融支援の見返りにドイツから要求されてきた緊縮策に対する不満が広がっており、それに後押しされる形で先月の総選挙に勝利したのがツィプラス首相率いる急進左派だった。ドイツはツィプラス首相が提示した案について、最も強く反発してきている。

 ベラルーシのミンスク(Minsk)でウクライナ和平を目指し独仏露ウクライナの4首脳会談を徹夜で行った後にブリュッセル入りしたメルケル首相は記者団に対し、「欧州は常に譲歩を大切にしており、…ドイツにもその用意がある」と話した。「しかし欧州の信頼性はルールの堅持に基づいており、だからこそわれわれは信用されているのだと言っておかなければならない」と付け足した。

 ギリシャとドイツの首脳は二国間の緊張を表に出さないよう努めた。ツィプラス首相は、「われわれが力を合わせれば、緊縮策の傷を癒やし、EU全域に広がる人道的危機と闘うため、相互に実現可能な解決策を見出せるはずだと強く確信している」と述べ、懐疑的な欧州各国政府に対しギリシャの新提案が奏功し得ることを、首脳会議を通して示したいとの考えを示した。メルケル首相は「譲歩」が可能という見方を示し、ツィプラス首相と温かい握手を交わした。(c)AFP/Danny KEMP