【2月7日 AFP】人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis Evangelion)」のテレビ放送開始20周年を記念して、「ロンギヌスの槍(やり)」を月に刺すアニメの名場面を実際に再現しようと約1億円の寄付を募るプロジェクトがスタートした。

「ロンギヌスの槍」はイエス・キリストが磔(はりつけ)刑に処せられた際、その死を確認するために使われたとキリスト教徒らに信じられている槍で、「運命の槍」や「聖槍」などとも呼ばれる。「エヴァンゲリオン」では、作中のメーンキャラクターが投げた「ロンギヌスの槍」が宇宙空間に達して月面に刺さる場面がある。

 今年で同アニメのテレビ放送開始から20周年を迎えることを記念して、月着陸船に搭載した長さ240ミリの槍のレプリカを月面に放出してこの場面を再現しようと、1億円を集めるクラウドファンディングサイトが立ち上げられた。

 プロジェクト主催者によると、今月5日現在で800人を超える人から約3390万円が寄せられた。募金額が4月5日までに1億円に達しない場合、プロジェクトはキャンセルになるという。

 だが一方では、日本人2人がイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に斬首された直後だけに、宗教的な観点からこうした計画に批判的な意見も聞かれる。プロジェクトのクラウドファンディング用サイトには、「ローマ法王は怒らないだろうか?」「このプロジェクトには反対。イスラム国は日本を攻撃対象とすると宣言しており、子どもたちのことがとても心配」などの書き込みが見られる。

 日本の宗教事情は日本古来の神道と伝来宗教の仏教を特に区別しない神仏習合が一般的だが、自分は熱心に信仰しているという人は少ない。また概して日本では世界のさまざまな宗教への理解が深いとはいえず、一部の人たちの目に日本人は宗教に無関心だと見えている。(c)AFP