イスラム国の操縦士焼殺、狙いは「恐怖」による優位性 専門家
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■焼殺に対するイスラム教徒の反感
イスラム国は焼殺という殺害方法を正当化するため、カサスベ中尉の焼死体を写した映像に合わせて、イスラム原理主義者や過激派が信奉する13世紀のイスラム法学者イブン・タイミーヤ(Ibn Tamiya)の言葉「おぞましい死によって敵を撃退できるのであれば、それは正当な聖戦だ」を挿入した。インターネット上では、過激派を支持する人たちが、カサスベ中尉の焼殺がイスラム教の下で正当化されうることの「証拠」だとするアラビア語やその他の言語の文献を投稿した。
だがイスラム法学者らは、イスラム国がイスラム教の戒律を破り、残虐行為を正当化するために、イスラム教の聖典コーランから都合の良い部分だけを選んでいると批判する。過激派はコーランから「敵からやられたのと同じ方法で敵を罰せよ」という一節を引用するが、この続きに当たる「だが、我慢することができるのであれば、その方が良い」との文言は無視している。また、拷問や焼殺を禁じた預言者ムハンマドの教えを指摘する人たちもいる。
ハッサン氏は、今回の動画が、イスラム国への賛否を決めかねているイスラム教徒でさえも反対派へと変え、逆効果をもたらす可能性があると指摘する。ヨルダンでは、カサスベ中尉の死には何ら不快感を持たないイスラム原理主義者たちでさえもが「彼の殺害方法とその公開方法に異議を唱えている」という。(c)AFP/Rana Moussaoui