【1月31日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は30日、シリアの首都ダマスカス(Damascus)で2008年にレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の司令官が暗殺された事件の背後に米中央情報局(CIA)とイスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)がいたと伝えた。

 同紙によると2008年2月12日、ヒズボラのイマド・ムグニヤ(Imad Mughniyeh)司令官がダマスカスのレストランを出たところ、近くに止まっていた車の後部のスペアタイヤに仕掛けられていた爆弾が爆発して狭い範囲に金属片をまき散らし、ムグニヤ司令官は死亡した。同紙は複数の元情報当局者の話として、米国とイスラエルの情報機関が協力してムグニヤ司令官を標的にしたと伝えている。

 爆弾は米国が製造し、米ノースカロライナ(North Carolina)州でテストされたもので、イスラエルのテルアビブ(Tel Aviv)にいたモサドの工作員が、ダマスカスの現場にいたCIA工作員と連絡を取り合って遠隔操作で爆発させたのだという。

 ムグニヤ司令官がダマスカスにいることを米国とイスラエルの情報当局が知った時期は明らかになっていないが、ある元情報当局者は同紙に対し、イスラエルがCIAに共同で同司令官をダマスカスで暗殺しないかと打診してきたと語った。

 米国とイスラエルの情報機関はムグニヤ司令官の「生活パターン情報」を集め、暗殺当日の夜、レストランから出てきた男が同司令官だと顔認識技術を使って特定した。