【1月24日 AFP】米国防総省は23日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」がイラク国内で支配下に置いた地域のうち、米軍主導の空爆が始まった昨年8月からの5か月間に奪還されたのはわずか1%にすぎないと発表した。

 同省のジョン・カービー(John Kirby)報道官によると、イラクの政府軍とクルド自治区の治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)はこれまでにイラク北部を中心に700平方キロの領域を奪還したが、イスラム国は依然として5万5000平方キロの領域を支配しており、米軍がイスラム国に対する空爆を開始した昨年8月8日以降に奪還された面積はイスラム国が制圧した土地のおよそ1%だという。

 一方、イラク政府が支配している地域は約7万7000平方キロ、ペシュメルガが支配している地域は5万6000平方キロとなっている。これらの面積はイラクの全領土を表すものではなく、人が居住している地域だけだと、カービー報道官は述べた。

 イスラム国に対する空爆はイラクとシリア領内でこれまでに2000回近く実施され、うち1600回以上は米軍が行った。カービー報道官はこれまでに奪還した地域はそれほど広くないと認めながらも、空爆によってイスラム国進撃の勢いが止まり、イラク軍部隊を訓練する時間が稼げたと述べた。米軍は、イスラム国を「根絶させるために本格的な攻撃を仕掛ける」には「時間がかかる」と明言している。

 米軍司令官らは、イスラム国が昨年掌握した広大な地域を奪還するため反撃に出る前に、イラク軍には組織の立て直しと装備の充実が必要だと主張している。米軍主導の対イスラム国作戦を指揮する米中央軍(US Central Command)のロイド・オースティン(Lloyd Austin)司令官は22日、米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)に対し、イラク軍が北部の都市モスル(Mosul)奪還のための反撃を始める準備は夏までに整うと述べた。(c)AFP