【1月16日 AFP】米国の今冬のインフルエンザワクチンについて、全年齢層での医師の受診を防ぐ有効率が23%前後となっていることが、15日に発表された米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の早期評価によって明らかになった。

 過去10年間のインフルエンザワクチンの有効率は10%~60%の範囲なので、2014~2015年にかけて使われたワクチンが史上最悪だったわけではない。だが今回の評価結果を憂慮したCDCは、インフルエンザに罹患した患者への抗ウイルス薬の使用を増やすよう医師らに呼び掛けている。

 ワクチン効果が十分でなかった原因は、現在の感染流行を引き起こしているインフルエンザA型(H3N2)ウイルスの多数の変異型が、今季のワクチンに組み込まれていなかったためとされている。

 CDCのインフルエンザ対策部門を統括するジョー・ブレシー(Joe Bresee)氏は「インフルエンザ感染が疑われ、重篤な合併症リスクの高いすべての入院および外来患者については、ウイルス確証試験の結果を待たずに利用可能な3種類の抗インフルエンザウイルス薬の一つを用いて早急に治療するべき。患者のワクチン接種状況にかかわらず」と述べている。

 一般に、インフルエンザワクチンの有効性は、65歳未満の健康な人々で最も高い。CDCによると、今季のワクチンは、生後6か月から17歳の子どもで有効率が26%で最も高かった。18~49歳の年齢層のワクチン有効率は12%、50歳以上では14%だったという。

 インフルエンザの流行期は通常約13週間とされている。当局によると、今シーズンの伝播の強さは「中程度」。15日の時点で流行期間の半ばを過ぎたところだという。

 インフルエンザの予防接種は、入院や死亡を引き起こす重篤な感染症や合併症を防ぐ助けになる可能性があるため、CDCは予防接種の受診を引き続き推奨している。(c)AFP