【1月12日 AFP】仏パリ(Paris)のユダヤ系食料品店を襲撃し、人質を取って立てこもった末に警察によって殺害されたアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者について、仏検察当局は11日、パリ近郊でジョギング中の男性が何者かに銃撃された事件にも関与していた疑いがあると発表した。同容疑者をめぐる捜査ではこの週末の間に、隠れ家として使用していたとみられる部屋が見つかった他、パリで起きた別の自動車爆破事件に関与した可能性も浮上している。

 クリバリ容疑者が居住していたパリ郊外フォントネオローズ(Fontenay-aux-Roses)で7日夜に起きた銃撃事件では、ジョギング中の男性が腕と背中に銃弾を受け、現在も重体となっている。検察当局の声明によると、犯行に使われた銃弾に、食料品店立てこもり事件で使用された拳銃の銃弾との関連性があることが分かった。

 銃撃事件が起きる数時間前には、別の2人の武装した男が風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社を襲撃し、12人を殺害する事件が起きていた。また、パリ近郊モンルージュ(Montrouge)で9日に起きた女性警察官射殺事件の現場からは、既にクリバリ容疑者のDNAが検出されている。

 さらに、パリ南部で8日夜に自動車に仕掛けられた爆弾が爆発した事件についても、クリバリ容疑者が関与していたとみられている。この事件については11日朝にインターネットに投稿された動画のなかで、女性警官射殺事件、食料品店立てこもり事件とともにクリバリ容疑者による犯行との声明が出された。

 動画では、クリバリ容疑者に酷似した白装束姿の男が、イスラム教スンニ派(Sunni)過激組織「イスラム国(Islamic StateIS)」のメンバーを自称し、7日にシャルリー・エブド紙本社を襲撃したサイド・クアシ(Said Kouachi)、シェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)両容疑者兄弟と連携して行動していたと主張している。動画は投稿から間もなく削除された。

 食料品店立てこもり事件では、特殊部隊が建物に強行突入した後、現場からトカレフ(Tokarev)拳銃2丁とカラシニコフ(Kalashnikov)自動小銃2丁、そして棒状のダイナマイトが複数本見つかっていたことから、クリバリ容疑者が重武装していたことが明らかになっていた。

 だが、パリ南郊ジャンティイ(Gentilly)でクリバリ容疑者が隠れ家として使っていたとみられるアパートが見つかったことで、同容疑者がさらに大量の武器を保有していた疑いが浮上した。

 クリバリ容疑者が4日から使用していたとみられるこのアパートを当局が捜索した結果、立てこもり事件のものとは別のトカレフ拳銃4丁、回転式拳銃1丁、弾薬、複数の携帯電話、催涙弾、警察の点滅灯、防弾チョッキ、双眼鏡が押収され、さらにイスラム教の聖典コーラン、イスラム国が使用しているものと類似した黒い旗が見つかった。この旗は、11日に公開された動画の背景に使われていたものとも似ている。(c)AFP/Jacques CLEMENT