【1月4日 AFP】フィリピンの刑務所のトイレで、8歳の少女が性的暴行を受けていたことが分かった。当局関係者が3日、明らかにした。

 この刑務所では先月、収監されている受刑者たちがストリップバーやジェットバスを楽しみながら「王様のような生活」を送っていることが暴かれたばかりで、今回の事件は国民の怒りに一層、油を注ぐことになっている。

 被害に遭った少女は今月1日、収監中の父親に面会するため首都マニラ(Manila)近郊にあるビリビッド(Bilibid)刑務所を訪れた。関係者によると、少女は発見された当時、トイレで首にロープを巻かれ、下半身裸の状態で床に仰向けに横たわっていた。初期の検査では、レイプされた形跡は確認されなかったという。

 アビゲイル・バルト(Abigail Valte)大統領報道官はAFPの取材に対し、「8歳の少女が巻き込まれた今回の事件は、嘆かわしいとしか言いようがない」と語った。

 一方、レイラ・デリマ(Leila de Lima)法相は、受刑者の1人が少女を襲ったことを認めていると発表した。この受刑者は今後、少女への暴行事件でも刑事責任を問われることになる。

 法相は同国のABS-CBNテレビに対し、「受刑者は強姦(ごうかん)目的で少女の首を絞め、意識を失わせた」と説明した。

 同刑務所ではわずか3週間ほど前、警察の強制捜査で施設内のいたるところに隠されていた麻薬や現金、銃、空気で膨らませる性玩具などが発見された。刑務所が、有力な犯罪組織のボスたちのためにつくられたエアコン付きの「別荘」さながらになっていたのだ。

 銀行強盗を行う犯罪組織のボス、ハーバート・コランゴ(Herbert Colanggo)受刑者は、刑務所内にレコーディング・スタジオを設置し、バラードのアルバムを制作していた。

 動画サイトのユーチューブ(YouTube)には、ピンク色のポンポンを持った観客が見守る中、体育館で派手なショーを行う同受刑者の姿が投稿されている。

 国内最大規模で定員8900人のビリビッド刑務所には現在、2万3000人以上が収監されており、定員超過と劣悪な状況で知られる。

 汚職がまん延する状態が以前から指摘されていたフィリピンの刑務所だが、3週間前に明らかになった同刑務所の現状は、国民に大きな衝撃を与えた。

 バルト大統領報道官は、政府は「矯正施設内で発生し得るあらゆる犯罪行為を阻止するための対策を講じている」と述べている。(c)AFP