【12月24日 AFP】ネパール人のシングルマザー、ディープティ・グルンさん(40)はこれまで長い間、10代の娘2人の国籍を取得しようと悪戦苦闘してきた。グルンさんの娘は2人ともネパール生まれだが、幼少の頃に両親が離婚し、母親に育てられた。

 少なくとも現在は、法律がグルンさんを味方している。だがネパールの制憲議会は新憲法草案で、ひとり親家庭の子どもが親の国籍を引き継ぐのを禁止することを提案しており、これが人権活動家の怒りを買っている。

 グルンさんは「自分の国で難民になるようなものだ。女性に対する扱いといえば、父親の書類を要求して尋問し、拷問にかけ、苦しめることばかり。男親が子どもの市民権を申請すると、何の質問もされないのに」と訴えた。

 人権活動家は、新法案が可決されれば100万人の子どもが無国籍状態になる可能性があると指摘する。ネパールではひとり親家庭の大半が母子家庭のため、女性が圧倒的に影響を受けることになる。

 新法案では子どもの国籍取得の要件として、両親がともにネパール人であることを定めている。これは両親のいずれかがネパール人である場合、その子どもには国籍取得の資格があるとした2006年の市民権法を覆すことになる。

 女性への法的支援を行う非政府組織(NGO)「女性・法・開発のフォーラム(Forum for Women, Law and DevelopmentFWLD)」のサビン・マルミ(Subin Mulmi)氏は「文言上は、男性と女性が同じように制約を受けるようにみえる。だがシングルマザーを差別するために、保守的な官僚たちが条項を悪用する余地がある」と話した。

 ネパールで生まれ育ったアルジュン・クマル・サーさん(25)はネパール人の母親とインド人の父親を持ち、理論上は市民権を有している。だが申請は未だに受理されておらず、そのために仕事に就けない状態が続いている。サーさんは歴史的に差別を受けてきた少数民族マデシ(Madhesi)の出身という。(c)AFP/Paavan MATHEMA