【12月22日 AFP】米インターネット小売り大手アマゾン(Amazon)の商品宅配に活用されるのは当分先になりそうだが、小型無人飛行機(ドローン)は私たちの生活に大きな影響を及ぼそうとしている。

 民生用無人機は今年に入って話題に上り始めた。誇大宣伝はさておき、この技術の先端をいくフランスや米国を中心に近い将来、日常的に利用されるようになるかもしれない。

 産業用無人機を生産している仏ベンチャー企業レッドバード(Redbird)のエマヌエル・ドメーストル(Emmanuel de Maistre)最高経営責任者(CEO)は、規制当局が無人機技術に追いつき始めていることから、発展途上にあるこの業界が世界各地で急成長するとみている。

 これまでは軍事用に限定されていた無人機だが、空からの単純な偵察をはるかに超えた民生用途が増えている。軽くて順応性が高く、操作が容易な無人機は、ヘリコプターや軽飛行機、衛星といった従来の手段に比べて詳細な調査結果が得られる場合が多く、仏航空宇宙アカデミー(AAE)は「より大量のより詳しい結果を得るのに有用であり、いくつかの事例では、コストも抑制されている」と評価している。

 航空学とハイテクが結合した無人機は、航空安全当局の規制対象である反面、航空学よりも新技術に負っている部分が大きい。ドメーストル氏は「無人機にはスマートフォン(多機能携帯電話)のあらゆる技術が導入されている」とコメントした。

 人々が無人機の力を初めて認識したのは今年、ウクライナで起きた政変で反体制派のデモが占拠した首都キエフ(Kiev)の独立広場(Maidan)や、自転車レースのツール・ド・フランス(Tour de France)といった大きな出来事を伝えるテレビのニュース映像だった。視聴者は現地の情勢やレース展開を、新鮮で驚くべきカメラアングルで目にすることになった。カナダのジャーナリズム学校では現在、無人機を使用した取材の専門課程を設けるまでになっている。

 スマートフォン関連製品を製造する仏パロット(Parrot)などのハイテク機器メーカーは、何とか市場シェアを確保しようと、スマホで操縦するカメラ搭載無人機を投入した。極限スポーツ用小型カメラで知られる米ゴープロ(GoPro)も、無人機市場への参入を狙っている。

 米業界グループ、国際無人機協会(Association for Unmanned Vehicle Systems InternationalAUVSI)は、10年以内に無人機市場は820億ドル(約9兆6100億円)規模に成長し、10万人が雇用されると予想している。とはいえ、無人機ビジネスはまだ生まれたばかりで、例えば現時点での欧州の市場規模は5億ユーロ(約7300億円)前後にとどまっている。

 フランスは無人機産業を開拓した国の一つで、無人機使用に関する12年の進歩的な法律がレッドバードのようなベンチャー企業の追い風になり、国内の業界では約3000人が働いているが、人材の大半が集中しているのは今のところ画像収集を主力事業とする小規模企業だ。