【12月10日 AFP】火星の探査を続けている米航空宇宙局(NASA)の科学者チームはこのたび、無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」が採取したデータから、火星にある山が湖の堆積物によって長い時間をかけて形成された可能性があると発表した。

 今回発表された最新の分析結果は、シャープ山(Mount Sharp)の山裾で発見された岩に基づくものだ。同山は奇妙なことに、火星のクレーターの内部に位置している。

 NASA火星探査計画の主任科学者、マイケル・メイヤー(Michael Meyer)氏は「ゲール・クレーター(Gale Crater)については、直径155キロの同クレーターの底を満たす巨大な湖、もしくは湖群がかつて存在した」と語る。

「この湖は十分な大きさを誇っていたため、数百万年にわたって存在し続けた可能性がある。これは、生命が発生、繁栄するのに十分な時間であり、湖の堆積物が蓄積されてシャープ山を形成するのに十分な時間だ」

 キュリオシティー計画に参加する米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のジョン・グロッチンガー(John Grotzinger)氏によると、科学者チームは、火星が歴史上のある時期に湿潤だった期間がどのくらいあったかについてはまだ解明に至っていないが、クレーター内に湖床が存在することを示す傾斜した岩盤や土を発見して驚いたという。

 記者会見でグロッチンガー氏は、傾斜層として知られるこの種の地層について、惑星の地形がどのように形成されたかを理解するために重要だが、明確な例は地球上でも見つかりにくいと述べた上で、「シャープ山の方向に傾いている傾斜層の発見は、本当に大きな驚きだった」と続けた。

 標高約5000メートルに達するシャープ山の堆積層最下部からキュリオシティーが採取したデータと画像を基に、科学者チームは、かつて河川が砂や泥を湖に運び、河口に土砂を堆積させた様子を示す名残を調査した。

 この堆積作用が何度も繰り返され、三角州が形成されたと思われる。

 NASAは、声明で「クレーターを満たす水の深さが少なくとも数百メートルに達し、堆積物が固まって岩になった後、積み重なった堆積層は風食作用で形を変え、長い時間をかけて山の形になった。クレーターの外周と現在の山裾の部分との間の物質は、この作用で浸食された」と説明している。