【12月10日 AFP】大韓航空(Korean Air)の最高経営責任者(CEO)の娘で、搭乗した自社便の機内でのナッツの提供方法をめぐり接客責任者を降機させたことで広く批判を浴びていた同社の趙顕娥(チョ・ヒョナ、Cho Hyun-Ah)副社長(40)が9日、辞任した。

 機内サービス部門を統括する最高幹部だった趙氏は5日、ニューヨーク(New York)からソウル(Seoul)に向けて離陸しようとしていた同社の旅客機を搭乗ゲートまで引き返させたうえで責任者を降ろし、運航を遅延させていた。

 趙氏は大韓航空が発表した声明で、「お客様と韓国の人々に対し、このようなご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともに、私の行動によって傷ついた方々に許しを請う所存です」と謝罪し、騒動の責任を取り全ての役職から辞任すると表明した。

 同社の広報担当はAFPの取材に対し、趙氏は全役職から退くものの、副社長の肩書は維持すると明らかにしている。ただし、今後同氏がいずれかの役職に復帰する可能性があるか否かについては言及しなかった。

■「見苦しい行動」と批判殺到

 韓国メディアは、趙氏の行動を一斉に批判した。韓国の大手経済紙・毎日経済新聞(Maeil Business Newspaper)は「大韓航空CEOの娘による見苦しい行動は、国家全体の恥だ」と非難。東亜日報(Dong-A Ilbo)は、趙氏は富裕層によくある「権利意識と高慢な態度」をむき出しにしたと指摘し、「趙家のようなオーナー一族の一部は、会社を自身の王国だと思っているようだ」と批評した。

 大韓航空の趙亮鎬(チョ・ヤンホ、Yang Ho Cho)CEOの3人の子どものうちの1人である趙顕娥氏は、1999年に同社に入社。今年副社長に就任していた。

 また、国内の市民団体は同氏の行動が航空安全規則違反と業務妨害にあたるとして、10日にも同氏を検察庁に刑事告発する構えをみせている。(c)AFP