【12月5日 AFP】南米アマゾンに生息するデンキウナギは最大600ボルトの電気を生み出すが、その放電の仕組みはスタンガンの一種「テーザー銃」とよく似ていることが分かったとする研究が4日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 馬1頭を倒せるほど強力なデンキウナギの電撃は、餌となる生物の筋肉を収縮させ、瞬間的にまひさせる。警察官が使うテーザー銃の効果もこれとほぼ同じだ。

 論文を執筆した米バンダービルト大学(Vanderbilt University)のケネス・カタニア(Kenneth Catania)教授(生物学)は、「デンキウナギの一撃とテーザー銃の放電の類似性に、衝撃を受けた」と述べている。

「テーザー銃は、毎秒19回の高電圧パルスを発するのに対し、デンキウナギは毎秒400回のパルスを起こす」(カタニア教授)

 デンキウナギは、小さな生物なら攻撃開始からわずか0.1秒で飲み込んでしまう。このすばやい動きを記録するため、カタニア教授は毎秒1000フレームの超高速カメラを使用して動画を撮影。合わせて、デンキウナギの攻撃のメカニズムを研究するさまざまな実験を行った。

 すると、デンキウナギの電気は餌にする生物の運動神経細胞に作用し、急激な筋収縮を引き起こしていた。これにより、獲物との距離があっても捕食が可能となっていた。

「驚異的だ。デンキウナギはたった0.003秒で捕食相手を完全に行動不能にできる。(餌の)魚は完全にまひしてしまう」とカタニア教授は語っている。

 また研究チームは、デンキウナギが水流に極めて敏感であることも突き止めた。視力のほとんどないデンキウナギが泥水の中でも餌を捕まえられるのは、獲物の筋肉のけいれんを察知して居場所を特定できるためだという。(c)AFP