【11月28日 AFP】中国を一党独裁する共産党が「法治」の強化を打ち出している中、裁判所職員に対する侮辱や中傷を刑罰とする刑法改定案に対し、被告の権利を保護する自由が制限されるとして同国の弁護士らが懸念を表明している。

 刑法改定案は、10月に行われた中国共産党の重要会議、中央委員会第4回全体会議(4中全会)で党指導部が「中国的な特徴をもった」法に基づく国家統治の強化を誓ってまもなく発表されたもので、「法廷の秩序をひどく乱した者」に対し3年以上の実刑を科すとしている。

 条文では「裁判所職員に対する侮辱、中傷、脅迫」及び「法廷の秩序をひどく乱す行為に関与した者」に刑罰を科すと述べているが、これに対し、あいまいで拡大解釈が容易だと批判する声が上がっている。専門家らは司法の独立性よりも、裁判所に対する中央政府の支配強化をうたった案だとして警戒心をあらわにしている。

 これまでに全国人民代表大会(National Peoples Congress、全人代、国会に相当)宛てに500人を超える弁護士が署名した法案撤回を求める公開書簡が届けられている。

 書簡の執筆を担当した1人、王全平(Wang Quanping)弁護士はAFPの取材に対し「法案は法廷内に不穏な空気を生じさせ、弁護士たちを黙らせる道具として使われかねない。刑法とは、主観的ではなく具体的であるべきだ。『侮辱』といった言葉は、それを告発する側の思惑に合わせて容易に曲解されかねない」と語った。(c)AFP