【11月5日 AFP】メキシコ南西部ゲレロ(Guerrero)州イグアラ(Iguala)市で今年9月に6人が殺害され学生43人が行方不明になっている事件で、連邦警察は4日、地元警察に学生らの襲撃を指示した疑いがもたれているイグアラ市の前市長とその妻の身柄を拘束した。

 逮捕されたのは、事件の2日後から行方をくらませていた前イグアラ市長のホセ・ルイス・アバルカ(Jose Luis Abarca)容疑者と、その妻のマリア・デ・ロス・アンヘレス・ピネダ(Maria de los Angeles Pineda)容疑者。当局によると、2人は首都メキシコ市(Mexico City)の、労働者が多く暮らしているイスタパラパ(Iztapalapa)地区で同日未明に連邦警察に拘束されたという。

 2人が拘束されたのは、ほこりにまみれた狭い庭のある灰色の小さな家。アバルカ容疑者が複数の宝飾店を営み、ピネダ容疑者が麻薬組織「ゲレロス・ウニドス(Guerreros Unidos)」の活動を取り仕切っていたとされる地元イグアラ市でのぜいたくな生活からはかけ離れた場所だった。

 当局によると、事件は9月26日に発生。近隣の教員養成大学に通っていた学生43人がメキシコ市の南200キロに位置するイグアラ市でバスに乗っていたところ、地元の警察から発砲された。43人はその後ゲレロス・ウニドスに引き渡され、以後消息を絶っている。

 ゲレロ州では軍の兵士やヘリコプター、ボートを出動させて大規模な捜索活動が行われているにもかかわらず、43人はまだ見つかっていない。またこの捜索活動を通じ、この学生らとは別の身元不明の38人の遺体が見つかっている。

 この事件は国際社会からの非難を招き、国内でも各地で抗議行動が発生。エンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領の政権を揺るがす事態となっている。アバルカ容疑者とピネダ容疑者の逮捕で、新たな手掛かりの発見が期待されている。(c)AFP/Guillermo BARROS