ハン氏の見積もりでは、市民の一般会話で交わされる単語の3分の1、ビジネスや公式な場で用いられる単語の3分の2が、韓国と北朝鮮で全く異なる。こうした言葉の違いは「現段階では南北間でコミュニケーションに支障が出るほどには至っていないが、このまま放置し続ければ言語の溝は修復不可能なまでに拡大するだろう」とハン氏は言う。

 統一辞書の編さんに取り組む南北の共同作業会は、2005年に設立された。目標は33万語の収録で、これまでに5万5000語を明確な定義とともに収録した。ハン氏によれば、辞書編さんの歩みは当初は遅々としたものだったが、北朝鮮側と韓国側の担当者どうしが親しくなるにつれて、次第にペースが上がっていった。

 だが共同辞書編さんという平和な作業も、不安定な南北関係に左右されることは免れない。作業会は設立からの5年間で20回の会合を持ったが、南北関係の悪化と軍事緊張の高まりをうけ2010年から今年7月まで中断していた。ハン氏は、「仮に」このまま中断されることなく作業を継続できれば、2019年には目標を達成できると自信を示している。(c)AFP/Lim Chang-Won