【10月31日 AFP】エボラ出血熱は致死性が高いが、全ての人が死ぬわけではない。エボラ熱の重症度には、感染者の遺伝的特徴が関与している可能性があることを示唆するマウス実験結果をまとめた研究論文が、30日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 米ワシントン大学(University of Washington)などの科学者チームは、米モンタナ(Montana)州ハミルトン(Hamilton)にある、高度な安全対策が施された最先端の生物学的封じ込め研究所で、西アフリカで猛威を振るっているエボラウイルスと同一種のマウス適合型ウイルスをマウスに感染させた。

 論文によると、感染させたマウスの70%が発病し、うち半数余りが肝炎や内出血により死んだ。また、感染マウスの約19%は、当初は体重が減少したが、後に2週間で元に戻り、完全に回復した。残り11%は、ウイルスに対して部分反応を示し、うち半数足らずが死んだ。

 この実験結果のばらつきは、今年西アフリカで発生したエボラ熱大流行にみられる傾向とよく似ていると研究チームは指摘する。また、病気の進行結果と死亡率には、マウスの特定の遺伝系列に応じた関連性があることを発見したという。

 死に至ったグループは、病気の重症化につながる血管炎症や細胞死を促進する遺伝子の活性が高かった。一方、回復して生き延びたグループは、血管の修復や感染と闘う白血球の生成に関与する遺伝子に高い活性を示す傾向があった。さらに、特殊化した肝細胞がウイルスの増殖を防ぐ助けになっていたかもしれないと論文は指摘している。

 ワシントン大細菌学部のマイケル・カッツェ(Michael Katze)氏は「医学研究者らが、今回の研究結果を治療法やワクチンの候補に適用できることを期待している」と話している。

 だが、今回の研究には参加していない英ウォーリック大学(University of Warwick)のアンドリュー・イーストン(Andrew Easton)教授(ウイルス学)は、遺伝子と病気の進行結果の間の関連性については他のさまざまなウイルスで同様の観察結果が報告されており、エボラウイルスでの今回の結果も驚くには当たらないとしている。

「これは貴重な情報である一方、論文のデータをそのまま、人間の状況の予測や潜在的な治療法の根拠として用いるのは、現時点では不可能だ」とイーストン教授は指摘。「今回の研究で使用されたマウスとは異なり、人間は幅広く異系交配を行い、多種多様な遺伝子の組み合わせを持っていることが、人間での遺伝子の影響の評価を難しくしている」と述べた。(c)AFP