【10月27日 AFP】フランスの街に出没する「邪悪なピエロ」が引き起こすパニックの波が、同国南部にも広がっている。

 地中海(Mediterranean Sea)に面した港町アグド(Agde)では25日夜、ピエロの格好をしてピストルやナイフ、野球のバットなどを持ち歩いていた少年ら14人が、高校の駐車場で警察に身柄を拘束された。同地域ではこの週末、「武装したピエロ」に関する通報が相次いでいた。

 近隣の都市モンペリエ(Montpellier)では、ピエロの扮装(ふんそう)で通行人を鉄の棒で殴った男が逮捕された。さらに自動車で通行した3人の人たちがそれぞれ別の町で「恐ろしいピエロ」に脅かされたと訴えた。

 邪悪なピエロの装いで通行人を怖がらせる現象は、過去に米国と英国で起きていたもので、フランスでは今月上旬に北部で報告されるようになった。北部の町ベテューヌ(Bethune)では20日、ピエロの格好をして通行人を脅かしたとして、19歳の男が執行猶予付き禁錮6月の刑を言い渡された。

 米国のハロウィーン(Halloween)の習慣が根付いていないフランスでこうした行為が横行し始めた原因をめぐっては、複数の説が指摘されている。ソーシャルメディア上での「チャレンジ」が発端とする説や、恐ろしい様相のピエロが人々を脅かすユーチューブ(YouTube)動画(これまでに3100万回以上再生されている)、あるいは、米人気テレビシリーズ「アメリカン・ホラー・ストーリー(American Horror Story)」で最近登場した殺人ピエロ「ツイスティー(Twisty)」に着想を得たものとの説もある。

 ピエロが徘徊しているとの噂が流れた仏東部の町ミュルーズ(Mulhouse)では22日、5人の少年らが、野球バット、催涙ガス、ハンマーや棍棒を手に自警団を結成し、悪ふざけを処罰するために街頭に繰り出した。少年らは当局に拘束され、後に釈放されたが、国家警察はこの事件を機に、事態の収拾に動いた。

 警察は先週発表した声明で、「10月中旬から、インターネット上で公開されたビデオに触発された噂話が、フランスで人々を脅かす攻撃的なピエロの出現に関する不安を住民の間に生んでいる」「警察には多数の通報が寄せられている一方で、ピエロの格好で通行人を脅す行為を楽しんでいる人々が目撃された例は、ごく少数しかない」「インターネットの影響の兆候として、この現象は有害な個々の行為を引き起こし、公の秩序を乱しかねない」と警告を発した。(c)AFP/ Fran BLANDY