【10月27日 AFP】ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州の学校から約220人の女子生徒がイスラム過激派「ボコ・ハラム(Boko Haram)」に拉致されてから6か月が経つが、仮にボコ・ハラムが政府との合意通り解放に応じても、女子生徒たちの前途には苦難が待っている。

 ナイジェリア政府は17日、4月14日から拉致されたままの女子生徒219人の解放と停戦でボコ・ハラム側と合意に至ったと発表した。しかし、生徒たちの地元である同州チボク(Chibok)の住民や指導者たちは、解放されたとしても生徒やその家族の喜びはつかの間だろうと危惧している。

 チボクの町や周辺の村々はボコ・ハラムの襲撃により、大きな被害を受けている。特に少女たちが寮生活をしながら学んでいた学校はほとんど何も残っていない。同校の副校長は「学校の80%は破壊された。29あった教室棟のうち残っているのは4つだけだ」と語る。「欧米式の教育」に反対するボコ・ハラムが、教務棟からIT棟、実習棟、図書館や食品売店までをことごとく破壊していったという。学生寮や職員寮、学食などは全焼した。

 ナイジェリア政府は学校再建への資金供給を約束しているが進展はほとんどない。最初の拉致から逃げ出してきた57人の女子生徒たちはすでに別の学校で学んでいる。

 学校だけではなく、周辺の村もボコ・ハラムに焼き尽くされ、数千人が避難した。拉致されている少女たちの親たちもその中に含まれている。住民の1人は「少女たちが解放されても、彼らがまたここへ戻ってくるとは思えない」という。