【10月24日 AFP】腐った卵にウマの尿、アルコール、そしてビターアーモンド──深宇宙の彗星(すいせい)を地球に持ち帰ってにおいを嗅いだとしたら、こんな香りがするだろう。欧州の科学者らが23日、述べた。

 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の科学者らによると、8月に67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)と深宇宙でランデブーして以降、彗星探査機ロゼッタ(Rosetta)は、この彗星から興味深い化学的特徴を捉えているという。検出された分子にはアンモニア、メタン、硫化水素、シアン化水素、ホルムアルデヒドなどが含まれていた。

「もし彗星のにおいを嗅いだなら、その後で嗅いだことを後悔するだろう」──研究チームはESAのブログに記した。

 研究チームは、ロゼッタに搭載された質量分析計「Rosina-DFMS」で、彗星が太陽に接近するにつれてその核のまわりの「コマ」から放出されるガスの特徴の分析を行っている。

 ロゼッタの分析装置「Rosina」の主任研究員キャスリン・アルトウェッグ(Kathrin Altwegg)氏は、「彗星67Pのにおいは強烈だ。腐った卵(硫化水素)、馬小屋(アンモニア)、そしてホルムアルデヒドの鼻を刺激する息の詰まるようなにおいがする。シアン化水素のほのかな苦みのあるアーモンド臭も」と述べ、「さらにかすかなアルコール(メタノール)と二酸化硫黄の酢のようなにおい、そして二硫化炭素の甘い香りも少し。これで彗星の『芳香』の完成だ」と続けた。

 ロゼッタは11月、彗星67Pに実験用着陸機「フィラエ(Philae)」を着陸させる。(c)AFP