【10月21日 AFP】米当局は20日、同国内でエボラ出血熱の新たな感染者が5日間にわたり確認されなかったことを受け、エボラウイルスの封じ込めに今のところ成功しているというある程度楽観的な見方を示すとともに、今後も警戒を続けていくと表明した。

 テキサス(Texas)州ダラス(Dallas)で今月エボラ熱により死亡したリベリア人男性、トーマス・エリック・ダンカン(Thomas Eric Duncan)さんの婚約者を含む50人近くが、3週間たっても発症の兆候が見られなかったため、隔離措置を解かれた。

 テキサス州では、9月下旬に米国内で初めてエボラ熱と診断されたダンカンさんと接触した医療従事者を主とする約100人が監視下に置かれている。

 だが当局は、新たな感染者がここ数日確認されなかったことに安堵(あんど)感を示している。感染の恐れがなくなった人たちには、ダンカンさんが発症した9月24日からダラスの病院で隔離された同月28日までの間にダンカンさんに接触した可能性のある医療従事者や住民が含まれている。

 今月8日に死亡したダンカンさんの治療に関わったテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院(Texas Health Presbyterian Hospital)の医療従事者のうち、2人の看護師がエボラウイルスに感染し、隔離された。うちニーナ・ファム(Nina Pham)さんの感染は今月12日に、もう一人のアンバー・ビンソン(Amber Vinson)さんの感染はその3日後に公表された。2人の感染は米国各地でパニックを引き起こし、エボラ熱にかかったのではないかと病院に駆け込むありふれた病気の患者が相次いだ。

 ファムさんは現在、首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)近郊の国立専門病院に入院している。症状は安定しているというが、米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious DiseasesNIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は完治の見込みについて推測を語ることは避けている。

 一方のビンソンさんは、ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)のエモリー大学(Emory University)病院で治療を受けている。家族は19日に発表した声明で、容体について「心から祈るとともに楽観」していると話したが、具体的な病状については言及していない。

 同病院ではさらに、西アフリカのシエラレオネで9月にエボラ熱に感染し、米国に移送されて治療を受けていた米国人男性が、完治して19日に退院したことが、20日に明らかになった。男性の身元は本人の希望により公表されていない。

 エボラ熱から回復した米国人は、いずれもリベリアで感染し、米国で治療を受けたケント・ブラントリー(Kent Brantly)医師とナンシー・ライトボル(Nancy Writebol)さんに次いで3人目。(c)AFP/Kerry SHERIDAN