【10月21日 AFP】スウェーデン海軍は20日、同国領海に侵入したとされる国籍不明の潜水艦に関する情報収集作戦の範囲を拡大した。この事件についてはロシアの関与が取り沙汰されており、冷戦(Cold War)時代を想起させる事態に発展している。

 スウェーデン軍は、捜索範囲を首都ストックホルム(Stockholm)の南東約70キロ付近の公海まで広げ、近年最大規模の捜索活動を行った。また同日初めて国民に対し、捜索海域から10キロ以内の範囲に近付かないよう呼び掛けるとともに、捜索海域の上空では不要不急の航空輸送を全て禁止した。

 ウクライナ危機をめぐってバルト海(Baltic Sea)での緊張が高まる中、ロシアとオランダがスウェーデンで問題になっているのは自国の艦船ではないと発表し、領海侵犯の謎は深まる一方となっている。

 ステファン・ロベーン(Stefan Loefven)首相はフィンランドの首都ヘルシンキ(Helsinki)で行った記者会見で、「ロシアと北大西洋条約機構(NATO)双方の軍事演習が活発化している」ことを明らかにした。スウェーデンでは今月17日に「人工物」についての通報があったことを受けて、ステルス艦、掃海艦、ヘリコプターも投入した大規模な作戦が行われている。ロベーン首相はヘルシンキで、「現時点で潜水艦を追跡しているわけではない。情報収集作戦を継続中だ」と述べた。

 冷戦時代、戦略上の要衝であるバルト海では各国の海軍が活発に活動し、ソ連海軍は特に中立国スウェーデンの長く入り組んだ海岸線を注視していた。スウェーデンはソ連崩壊後も、外国のものとみられる潜水艦に対して厳しい監視の目を向けている。(c)AFP/Tom SULLIVAN