【10月16日 AFP】英国の裁判所は15日、耳が聞こえなく口も利けないパキスタン人少女を約10年間にわたり奴隷として扱っていた夫婦に対し、被害者への約10万ポンド(約1700万円)の支払いを命じた。

 10歳のときに人身売買の被害に遭い、英国に連れて来られた現在20代のこの女性は、イリヤス・アシャル(Ilyas Ashar)被告(85)に繰り返し性的暴行を受け、同被告の妻タラト・アシャル(Tallat Ashar)被告(69)からは使用人として扱われてきた。

 被害女性は、寝室が5部屋ある被告らの自宅がマネーロンダリング(資金洗浄)への関与の疑いで当局の捜索を受けた際、地下室に置かれた簡易ベッドで眠っているところを発見・保護された。女性はその後に手話を学び、昨年行われた裁判で証言した。

 裁判所は女性に支払われるべきだった金額を、10万1300ポンド(約1716万円)と算出。この額は、2003年以降に10日間の休暇を除いて1日12時間、最低賃金で被告夫婦に雇用されていたと仮定して算出された。また、被告夫婦は女性の代理を装い社会福祉給付金を不正に受給していたため、その返金も命じた。

 イリヤス被告には強姦(ごうかん)と人身売買、給付金詐欺で禁錮15年、タラト被告には人身売買と給付金詐欺で禁錮5年の有罪判決が下されている。(c)AFP