【10月15日 AFP】火星への移住を計画している人に「待った」がかかるような研究報告書がこのたび発表された──米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)の研究者らが発表した報告書によると、現状では火星への移住後68日以内に「移住者らの死」が始まる可能性があるという。

 報告書で研究者らは、火星のコロニーでは開始から約2か月後に酸素レベルに問題が発生するとしており、永住のためには新たな技術が必要と指摘している。

 今回の研究では、2024年からの開始が予定されている、火星への移住計画を進める非営利企業「マーズ・ワン(Mars One)」のデータが用いられた。

 最初の移住計画に参加するメンバー24人は、応募者20万人から選抜した約1000人の候補者のなかから選ばれる。

 しかし、火星の諸条件と人類の技術では、少なくとも現時点での火星移住は難しいかもしれない。

 移住に必要となる酸素、食糧、技術について解析した35ページの報告書には、「開始から68日あたりで最初のグループから死者が出るだろう」と記されている。

 コストの面では交換部品輸送が大きな課題となり、移住計画では少なくとも450億ドル(約4兆8000億円)の費用が必要となると推定されている。

 マーズ・ワンの共同創設者で最高経営責任者、バス・ランスドルプ(Bas Lansdorp)氏も、この輸送をめぐる問題を認めている。しかし、今回の研究では不完全なデータが使用されており、「火星に行く技術がまだ準備できていないというのには同意できない」とAFPの取材に語った。

 同プロジェクトには多くの人が懐疑的な声を上げているが、1999年にノーベル物理学賞を受賞したオランダのヘーラルト・トホーフト(Gerard 't Hooft)氏は支持を表明している。(c)AFP/Fabienne FAUR