【10月9日 AFP】英ロンドン(London)では地価の上昇により、日の光が全くささない場所でさえ新たなビジネスチャンスとなる可能性を秘めている。同市では現在、19世紀の公衆トイレなど、忘れられた地下のスペースがレストランやカフェ、ブティックなどに生まれ変わっている。

 第2次世界大戦(World War II)以降、ロンドン市内にあるビクトリア様式の公衆トイレの多くは数十年間放置されたままになっていた。しかし、新たな財源として目を着けた地元当局の後押しによって、これらを改装する動きが広がっている。

 改装された多くのスペースは「トイレ的伝統」を受け継いでおり、2013年にハックニー(Hackney)にオープンしたコーヒーショップはその店名が「コンビニエンス(Convenience、便利、トイレの俗称)」であったり、ロンドン南部クラパム(Clapham)のワインバーは「WC」、ケニントン(Kennington)の舞台芸術スペースは「ArtsLav(アートトイレ)」などといった感じだ。

 市内で現在も使用されている公衆トイレの見学ツアーを企画している「レディー・ルー(Lady Loo、レディー・トイレ)」ことレイチェル・エリクソン(Rachel Erickson)さんによると、こうした傾向は「勢いを増している」という。

 7月に「WC」をオープンさせたジェイク・マンジョン(Jayke Mangion)さん(34)は、「収入源としてすべての空きスペースを活用するよう、政府が同市議会を後押ししていた」と説明する。

 放置されたトイレや使われなくなった地下鉄駅など、様々な珍しい物件が続々と市場に登場しており、地価の相場よりもはるかに手ごろな賃貸料が提示されている。