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チンパンジーの暴力性は「生まれつき」、従来説を否定 研究

2014年9月18日 12:01 発信地:パリ/フランス

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チンパンジーの暴力性は「生まれつき」、従来説を否定 研究
チンパンジー。オーストラリア・シドニーのタロンガ動物園(Taronga Zoo)で(2007年9月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/Greg WOOD

【9月18日 AFP】チンパンジー(学名:Pan troglodytes)は、相手を殺すほどの激しい暴力行為に及ぶことがあるが、これは生まれつきの性質によるものだとする研究論文が、17日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。この結果は、人間による「侵害」が暴力の原因と示唆する一部の説を否定するものだ。

 英国の高名な霊長類研究者、ジェーン・グドール(Jane Goodall)博士を初めとする動物学者らは長年、遺伝子的に人間に非常に近いチンパンジーが、群れの間で「チンパンジー戦争」を繰り広げる原因について、さまざまな推測を行ってきた。

 従来説のひとつには、チンパンジーが人間の影響を受けた結果として、攻撃的な側面が強まったとするものがある。同説は生息地や食べ物が失われることで、資源をめぐる争いがますます激しさを増すとしている。

 だが米リンカーンパーク動物園(Lincoln Park Zoo)などの科学者チームが行った最新の研究によると、組織的な暴力行為は、チンパンジーの進化戦略の1つだという。

 同研究は、チンパンジーが、ライバルの群れを壊滅させるために殺害行為に及び、縄張り、繁殖相手、水や食料などを獲得すると示唆している。進化論に当てはめると、生き延びて自分たちの遺伝子を次世代に伝える助けになる優位性を得ようとしているということになる。

 研究結果は、アフリカの森林地帯に生息する18のチンパンジーの群れを対象とした半世紀に及ぶ詳細な調査の結果を調べることで導き出された。

 研究チームは、チンパンジーによる殺害行為152件を詳しく調べた。殺害行為の大半は、複数の雄が協力して実行していた。

 雄のグループはしばしば結束して別の群れを襲撃し、殺害行為に及んだが、殺されるのは通常、遺伝的に関連のないライバルの雄と子どもだった。

 時には授乳中の子どもを母親から奪い取って殺すこともあったが、雌に危害を加えることはなかった。

 チンパンジーは、飢えや人間による侵害や森林伐採が原因で、これらの行為に及んだのかどうか、また生息する保護区域の規模が大きいか小さいかを、研究チームは判定する必要があった。

 研究によると、チンパンジーの殺害の大半は、人間によるあらゆる種類の侵害行為の影響が最も少ない東アフリカ地域に生息する群れで発生していた。

 アフリカ中部でチンパンジーを14年間研究してきたリンカーンパーク動物園の類人猿保護の専門家、デービッド・モーガン(David Morgan)氏は「野生のチンパンジーの群れは、生息地が手付かずの自然が残る環境か、人間に荒らされた環境かによって大きく二分される場合が多い」と説明。

「今回の研究対象とした地域には、このどちらのケースも含まれている。結果として、群れ間での殺害発生率は、人間の影響の有無では予測できないことが分かった」と結論付けている。(c)AFP

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