【9月16日 AFP】ウクライナと親ロシア派とが数か月にわたって激しい戦闘を繰り広げたウクライナ東部では現在、数千人のウクライナ人が東部ルガンスク(Lugansk)の町へとつながるロシア国境のIzvaryneの検問所に日々詰め掛けている──。

 この検問所は、ウクライナの親ロシア派武装勢力が5月に独立を宣言した「ルガンスク人民共和国(Lugansk People's RepublicLPR)」とロシアとの境界線上にあり、LPR側にはロシア側へと向かう多くの車が列を成している。

 そのうちの一台に乗るサーシャさんは、家族と一緒にロシアへと避難している最中だと語る。「空爆から逃げているんだ。ウクライナ軍は罪のない民間人を殺している。みんな逃げたよ」。住んでいた村の大部分は戦闘により破壊されたとしており、しばらくはロシアに滞在する予定だと述べた。

 一方、この2か月間、ロシアで夫や子供たちと過ごしていたオルガさんは、逆にLPR側に向かう人々のうちのひとりだ。「私たちはクラスノドン(Krasnodon)の町に向かっている。そこはいま平和だから」。

 それでもLPRの将来には一抹の不安を覚えるという。事実上、反政府勢力の支配下にあるLPRは、今後、国際社会から容認される可能性が低いからだ。「でも私たちに何ができるというの?情勢が改善して、落ち着いて働けるように、子供たちが学校に行けるようになってほしい。でも情勢が悪化したら、私たちはおそらくまたロシアに戻るわ」とため息交じりに語った。

 親ロシア派武装勢力によれば、ウクライナ政府と親ロシア派の停戦合意以降、この国境を越える人は、1日に7000~8000人に上る。戦闘が激化していた6月と7月には、1日最大1万人を数えたという。

 停戦後、状況が比較的落ち着いたことから、多くの住民がウクライナ東部に戻ってきている。しかし「移動疲れ」を理由に戻ってくる者も少なくないようだ。現在は、ロシアに向かう人より、ウクライナ東部に戻ってくる人の方が多い。

 国連(UN)の発表によると、ウクライナ国内で避難民となっている人は少なくとも26万人に上る。また26万人がロシアに避難しているという。(c)AFP/Amélie HERENSTEIN