【9月6日 AFP】フランス東部の小さな町で、飼育許可申請が出された犬2匹の名前に町長が激しい拒絶反応を示し、許可証への署名を拒む騒動が起きた。町長は、犬の飼い主は地元の極右政党幹部だと主張している。

 物議を醸している犬は、「イトラー(Itler)」と「イバ(Iva)」と名付けられた2匹のアメリカン・スタッフォードシャー・テリア。 

 仏東部サン・ニコラ・ド・ポール(Saint-Nicolas-de-Port)のリュック・バンサンジェ(Luc Binsinger)町長は、AFPの取材に「私は許可証に署名したくない。言うまでもなく、『イトラー』と『イバ』という名前はアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)とエバ・ブラウン(Eva Braun)を思い起こさせる。うさんくさい言葉遊びだ」と述べた。フランス語ではアルファベットのHは発音しない。

「どう対応すべきか、県知事に問い合わせている。回答が届くまで署名するつもりはない」ともバンサンジェ町長は語り、2匹の犬の飼い主は極右政党・国民戦線(National FrontFN)の地元幹部だと確信していると主張した。

 フランスでは、人などに危害を加える恐れのある危険犬種の飼育には許可が必要となる。問題の犬2匹の飼い主は既に飼育のための初期登録は済ませており、その際には名前は特に問題視されなかったとみられる。

 フランスの法律上、動物に付ける名前に制限はない。ただ、1つ例外があり、ブタにナポレオン(Napoleon)と名付けることだけは、今も法典にその名を残す初代フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte、ナポレオン1世)のイメージを損なうとして認められていない。(c)AFP