【9月4日 AFP】米ノースカロライナ(North Carolina)州で、少女の強姦(ごうかん)殺人事件で有罪判決を受け約30年間にわたって収監されていた重度の知的障害がある死刑囚と受刑者の異母兄弟が、無実だったことが判明したとして2日、釈放された。

 この兄弟は、1983年に起きたサブリナ・ブイ(Sabrina Buie)さん(当時11)強姦殺人事件で有罪となったヘンリー・リー・マッコラム(Henry Lee McCollum)死刑囚(50)と、レオン・ブラウン(Leon Brown)受刑者(46)。2人とも逮捕時は10代で、いずれも重度の知的障害があったが、犯行を自白したため有罪判決を受けた。

 しかし、同州ロブソン(Robeson County)郡の判事はこのほど、新たに判明した証拠のDNA分析で、2人の冤罪(えんざい)が確定したと発表した。

 マッコラムさんは同州の死刑囚の中で、最も長期にわたって収監されていた。ブラウンさんを担当するアン・カービー(Ann Kirby)弁護士は、「真実を突き止める重要さを最もドラマチックに示すケースとなった」とコメント。「真実は勝利したが、30年を要した。被害者とその遺族にとっても、レオンとヘンリーとその家族にとっても、長すぎる時間だった。彼らの悲しみ、心痛、喪失感は永遠に消えない」と語った。

 ノースカロライナ州では現在、殺人事件の取り調べの様子は録音または録画が義務付られけているが、兄弟が逮捕された当時、こうした法律は整備されていなかった。当局が現在は「事実としてあり得なかった」と認めている2人の自白内容が詳細に記された供述書は、記録に残っていない。(c)AFP