【9月3日 AFP】米旅客機が、狭いエコノミークラスの座席でのリクライニングをめぐる乗客同士のトラブルにより、再び緊急着陸を余儀なくされた。米国で同様のトラブルが起きるのは、9日間で3度目。

 緊急着陸したのは、米国の「レーバーデー(労働者の日、Labor Day)」の休日に当たる1日にニューヨーク(New York)からフロリダ(Florida)州ウエストパームビーチ(West Palm Beach)に向かっていたデルタ航空(Delta Air Lines)2370便。

 乗客の女性が、前席の背もたれの裏側に設置されているトレーテーブルを開き、その上にうつぶせになって眠ろうとしていたところ、前席の女性客が突然倒した背もたれが頭を直撃。怒った女性は大声で騒ぎ、暴力的な言葉を発し始めた。客室乗務員が仲裁に入ったところ、女性はさらに激高。パイロットはやむをえず、フロリダ州北部ジャクソンビル(Jacksonville)の空港に同機を緊急着陸させた。

 ジャクソンビルの航空警察局によると、この女性は同州ボカラトン(Boca Raton)在住の無職エイミー・ファイン(Amy Fine)さん(32)。午後9時半(日本時間2日午前10時半)に同便が着陸した後、警官に連れられ飛行機を降りた。

 警察によると、ファインさんが「乗務員らが機内の安全性を不安視するほどけんか腰な態度」になったため、同便は行き先を変更したという。ファインさんは同便の運航を妨害したことを否定しており、警察に対し、飼っていた犬2匹が死んだばかりで「ただ単に感情的になっていた」と話した。ファインさんはその後、釈放された。

 デルタ航空はAFPに対し、同便は「非常に慎重に対応する必要がある」との考えから航路を変更したが、問題の乗客を降機させた後、当初の目的地のウエストパームビーチに向かったと説明している。

 航空業界アナリストのロバート・マン(Robert Mann)氏は、リクライニングシートをめぐる緊急着陸は「過剰反応」だと指摘。こうした場合の対応手順をあらかじめ定めておくよう、航空会社に提案している。(c)AFP