【9月2日 AFP】訪日中のナレンドラ・モディ(Narendra Modi)インド首相は1日、安倍晋三(Shinzo Abe)首相との会談後の共同記者会見で、日印関係は「新しいレベル」に達したと宣言した。

 今年5月に就任したモディ首相にとって今回の訪日は、インド亜大陸以外の国として初の外国公式訪問。かつてなく強硬さを増している中国を挟む位置にありつつ、その中国との関係に問題を抱える両国の首脳は、先月30日に始まったモディ氏訪日の随所で親密さをアピールしてきた。

 首脳会談後の記者会見でモディ首相は、「21世紀はアジアの世紀であることは世界が知っている」「だが、その形と質はまだはっきりしていない。これは日本とインドが今後どのように協力していくかによって決まる」と述べ、「両国の関係は新たなレベルへと移行している」と付け加えた。

 世界各地で実施する軍事的関与に疑問の目が向けられている米国は、中国に拮抗する地域バランスをアジアにもたらすものとして日印関係の強化を熱望している。会談後の共同会見で安倍氏とモディ氏は、米国を交えた最近の3か国協力を歓迎した。

 武器輸出三原則を今年に撤廃した安倍政権は、軍事産業の拡充、とりわけ海上自衛隊の水陸両用救難飛行艇US2の対インド輸出の実現に意欲を示している。

 経済協力についても、日本からインドへ今後5年間で3兆5000億円規模の官民投融資を実現するとの目標が共同声明には明記された。この中には交通網や発電施設、通信システムといったインフラ基盤がぜい弱で不安定なインドのインフラ整備費として融資される500億円が含まれ、全体で現在の投融資水準の倍となる。さらに両国は、ハイテク産業に不可欠だが中国が生産を独占しているレアアースの共同生産に向けても合意を交わした。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA