【9月1日 AFP】イスラエル政府は8月31日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のイスラエル占領地でパレスチナ人が所有する土地400ヘクタールを没収すると発表した。パレスチナ人は強く反発しており、イスラエル国内の平和活動家らは懸念を募らせている。

 パレスチナとの共存を訴えるイスラエルのNGO「ピース・ナウ(Peace Now)」によると、イスラエルが没収を決めたのはヨルダン川西岸南部のベツレヘム(Bethlehem)の周辺地域。没収面積は過去30年で最大という。

 占領地の民事を管轄するイスラエル軍の担当部門は「政治部門からの指示により、入植地Gevaotの土地4000ドナム(1ドナム=1000平方メートル)を国有地とする」と発表し、45日間の不服申し立て期間を設けることを明らかにした。

 軍によると今回の没収は、没収対象地域が含まれるグッシュ・エツィオン(Gush Etzion)入植地の道路脇で6月、ヒッチハイクをしていたイスラエル人少年3人が拉致され殺害された事件に対して取られた政治的措置だという。イスラエル側は少年らの殺害に関与したとして、ヨルダン川西岸ヘブロン(Hebron)出身のパレスチナ人3人を名指ししている。

 土地没収の発表には怒りの声が上がっている。和平交渉のパレスチナ側交渉責任者サエブ・アリカット(Saeb Erakat)氏は、AFPの取材に「イスラエル政府はパレスチナ人民と占領地に対して数多くの犯罪を行っている」と訴え、イスラエルに外交圧力をかけるよう呼び掛けた。(c)AFP/Steve Weizman