【8月26日 AFP】世界で初めて実現が期待されていたジャイアントパンダの出産風景の生中継は、母親パンダが実際には妊娠していなかったことが26日に判明し、夢に終わった。

 出産ドラマの主役となるはずだったのは、中国・四川(Sichuan)省成都(Chengdu)にあるパンダ繁育研究基地(Chengdu Research Base of Giant Panda Breeding)で飼育されている雌のジャイアントパンダ、アイヒン(Ai Hin、愛浜)。

 アイヒンは前月、妊娠の兆候を示し、出産の様子を生中継するイベントが計画された。しかし中国国営新華社(Xinhua)通信によると、アイヒンの「行動や生理学的指標は、平常に戻ってしまった」という。同通信は、アイヒンが経験したのは「偽妊娠」だったとする専門家の談話を引用している。

 パンダ繁育研究基地では通常、妊娠したと思われるパンダを、24時間看護体制のエアコン付き個室に移動させる。しかし同基地の専門家は「ここでは餌や果実、笹などを普段よりもたくさん与える。そこで賢いパンダは生活の質を上げるためにここへ入ろうとする」という。

 偽妊娠は絶滅の危機にある動物ではよくみられるといわれており、多くのパンダは飼育環境に差があることを察知すると妊娠したような反応を示し続けると、新華社は伝えている。

 6歳になるアイヒンの場合は「妊娠」の可能性が最初に診断されたときには食欲が減り、動きが鈍くなり、ホルモンの値が上昇した。しかし、その後も観察を続けた結果、偽妊娠との結論に至った。(c)AFP