【8月26日 AFP】国連(UN)は25日、シリアとイラクで活動するイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が「民族および宗教の浄化」を行っていると非難した。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、ISは24日、シリア北部ラッカ(Raqa)県最後の政府軍拠点だったタブカ(Tabqa)軍事空港を掌握。一方イラクの首都バグダッド(Baghdad)近郊では25日、同国北部クルド人自治政府の治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)がISの戦闘員らを撃退するなど、攻防が続いている。

 ナビ・ピレイ(Navi Pillay)国連人権高等弁務官は声明で、ISとその関連グループがイラクで非アラブ民族と非スンニ派イスラム教徒を迫害し、標的殺害や強制改宗、誘拐、密売、聖地や文化財の破壊を行っていると指摘。

 ピレイ氏は、「彼らは組織的に、民族・宗教・宗派に基づいて男性・女性・子どもたちを標的とし、支配域で冷酷かつ広範な民族および宗教の浄化を行っている」として、「そのような迫害は人道に対する罪に該当する」と糾弾した。

 同時に国連の人種差別撤廃委員会(Committee for the Elimination of Racial Discrimination)も、国連人権理事会(UN Human Rights Council)に加盟する47か国に対し、この危機をめぐる緊急会議の開催を呼び掛けた。

 さらに同委員会は、イラク北部ニナワ(Nineveh)州付近に「安全地帯」を設けるため、国連安全保障理事会(UN Security Council)が「平和軍」を派遣する時に来ているとも訴えている。(c)AFP